水銀はもう役目を終えたの?
水銀は常温で液体,というとても変わった金属なので,いろいろなところに利用されてきました。
左から水銀体温計,水銀血圧計,水銀傾斜スイッチです。
しかし,水銀の蒸気やその化合物が健康被害をおよぼすため,2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効されました。それにより,こうした製品は現在では製造(,組み込み,輸出入)しないよう規制されています(一部のボタン電池や蛍光灯など,水銀の使われている製品も残ってはいます)。
水銀による健康被害というと,日本では水俣病や新潟水俣病が知られています。
そして,世界的には,砂金採取の際に水銀が使われてきました。
そこで,最後の第5問です。
どうして砂金採取に水銀が使われたのでしょうか?
砂金は,砂のように小さい金の粒でしょう?
砂金採りは,西部劇とかで観たことがあるよ。金が含まれていそうな砂と水を入れた皿を何回もゆすると,金は密度が大きいから,下に沈むんだよね
でも,砂にくっついた金もあるし,うんと小さくて見えないものもありますね
そういうときに水銀を使うのか。さっき金箔が溶けたように,水銀を使って砂粒についた金だけを溶かし取るんだ
でも,水銀に溶け込んだ金はどうやって取り出すの?
そりゃあ,金が溶け込んだ水銀を熱して水銀だけ蒸発させたらいいんじゃない
そうか,その蒸気を吸い込んで水銀中毒になっちゃうのか
水銀を使った砂金採取が行われていた地域では,水銀蒸気を吸ってしまう採掘労働者だけでなく,大気中に放出された水銀が河川に流入して下流域の住民にも水銀中毒の被害が出てしまいました。
最後は大変つらい話題になりましたが,科学の目で現実を見ることが必要ですね
今回は,欲張って長くなりました。でも,疲れ以上の充実感です。