vol.23 - No.10 (2021年8月15日)

カブトムシやクワガタなどの甲虫類には、鎧(よろい)のように体を包む鞘翅(しょうし)に光沢があって、美しい姿をしているものが数多くいます。中でも特に美しく昔から珍重されていたのがタマムシです。正式にはヤマトタマムシといいますが、生きた成虫に出会うことが難しくなってきています。私も、30年以上前に伊豆の天城山で出会ったきりでした。それ以来、標本を見ることはあるものの、動き回る姿を見たことはありませんでした。ところが、今年の7月下旬、そんなヤマトタマムシに頻繁に会う機会ができました。それも、私がミツバチの巣箱を置いている場所のすぐ目の前です。そこには大きなエノキがあります。その周りをよくアカボシゴマダラが飛び回っています。時折在来種のゴマダラチョウらしい姿を見かけることもあるので、卵でも産んでくれたらと思いながらエノキを眺めていたときのことです。細長い鞘翅を地面と平行になるように立て、腹部を45度下の方向に下げ、ぎこちなく飛ぶ昆虫が目にとまりました。見たことのない飛び方の虫だなと思いながらよく見ると、何とそれがタマムシだったのです。驚きました。こんなところにいるんだと思いながら、その後30分程見ていると、エノキのあちらこちらで飛ぶ姿を目撃することができました。そのようすを見て、捕まえてできれば卵を産ませたいと思う気持ちがわいてきました。それから数日間、何度も捕獲を試み、7匹のヤマトタマムシを捕獲することができました。餌となるエノキの葉のついた枝とクヌギやカキの太い枝を飼育ケースに入れ、飼い始めています。その後のようすは、次回またお知らせします。

さて今回は、カラスアゲハの2回目です。終齢幼虫が成虫になるまでのようすを紹介します。