vol.25 - No.20 (2024年1月15日)

前々回にお話ししたエンマコオロギのメスはしばらくして死んでしまいましたが、オスは12月の下旬になっても生きていました。そこで、年をまたいで生きるかもと期待して世話を続けました。しかし、残念ながら、29日に飼育ケースをのぞくと腹を上にして死んでいました。12月になっても羽を振るわせ鳴いていたなと思いながら、ずっと昔お正月にスズムシを鳴かせようとした時のことを思い出しました。長生きしたエンマコオロギのようにお正月まで生かしておこうと思ったのではありません。夏の終わりに産卵した卵をだまして、11月に孵化させ、冬に成虫まで育てようとしたのです。まず産卵して間もない卵を冷蔵庫に入れて冷やしました。冬が来たと思わせるためです。どのくらいの長さ冬と思わせればいいのか分からなかったので、3週間・1か月・1か月半と期間を3つに分けて冷蔵庫に入れました。その後、高校生の時に購入した孵卵器に、設定温度を25度にして入れました。ここまでは思い出したのですが、その後の結果についてはよく覚えていません。幼虫は育ちましたが、正月には成虫にならず、鳴き声が聞けたのは3月に入ってからだったように思います。正月にスズムシを鳴かせるという目的は達成できなかったものの、スズムシの卵をだますことには成功したことになります。その時にはだませたことに満足してしまったのですが、昨年暮れ、暖かかった秋にだまされて孵化してしまったオンブバッタの幼虫を見たときには複雑な気持ちになりました。茶色くなり始めた芝生の上で、寒さのために凍えていたのです。さらに、年の初めから災害・事故が続いたことも重なり、さまざまなことが頭の中をめぐりました。私たちに襲いかかる2つの危機、生活環境そのものの悪化、そしてだまし合いとも言える嘘の情報の急増。そうした現実に心が重くなる新年のスタートでした。

さて今回は、成長するようすの紹介ではありませんが、新年を迎えた1月なので、めでたいとされるツルの代表、タンチョウの冬の姿を集めてみました。