vol.24 - No.24 (2023年3月15日)

昨年秋にアキアカネの撮影をしていたところ、何組ものカップルがつながって、畑の黒いビニールマルチを水面と勘違いし、さかんに産卵行動をしていました。卵を産み落としているかどうかの確認はできませんでしたが、そこで頑張っても子孫を残せないよと思い、捕まえて家に連れて帰り庭の池に産卵させました。メスのお尻をちょんちょんと水面につけると、パラパラと卵を産み落とします。そこで、アキアカネの成長のようすを撮影したいと考え、イチゴのケースに水を張って産卵させ、部屋に置きました。アキアカネの卵は次の年の春に孵化して成長を始めます。それまで水の管理をしながら孵化を待つことにしました。時々水を交換しながら卵のようすを見ていた12月27日のことです。目のようなこげ茶色の点のつく卵の横に、何と孵化したばかりと思われる幼虫がいたのです。体が透き通るとても小さな幼虫です。一度目を離すとなかなか見つけ出すことのできないほどです。さて困りました。シオカラトンボの幼虫にはブラインシュリンプと呼ばれる海水性のエビの幼生を与えて育てました。寒い冬に孵化させて餌として用意するには大変な手間がかかります。あれこれ思案していたのですが、そうこうしているうちに孵化した幼虫は次々に死んでしまいます。隠れることができないストレス。水深が深いことにより上手に呼吸できない。など、原因をいろいろ考え、大きくならない限り発見することが難しくなるとは思いましたが、細かい土粒を敷いて傾斜を作り、深い所や浅い所ができるようにした容器に幼虫を入れました。案の定。入れた瞬間、もう幼虫の姿は確認できなくなりました。あとは餌です。とりあえず、ホンモロコという淡水魚を飼育している水槽にたくさんつく緑藻類を集めて入れました。微生物がたくさんいると思われるからです。集めた緑藻類の中にどんな微生物がいるか顕微鏡で調べてみたのですが、するとどうでしょう。たくさんのゾウリムシやべん毛虫に混ざって、比較的大きめなベニヒルガタワムシ・ベニアブラミミズ・線虫などがいたのです。これらを食べて育ってくれればと、その後も水の管理を続けました。その結果、2カ月以上たった3月になって2齢や3齢と思われる幼虫を4匹確認することができました。「おおきくなあれ」で紹介できるように、成虫になるまで育ってくれたらと思っています。

さて今回は、久しぶりに顕微鏡観察をして見つけた微生物を紹介することにします。小学校の教科書にも登場する、比較的名を知る人の多い原生動物と呼ばれる仲間です。