vol.24 - No.07 (2022年7月1日)

花が咲き終わって枯れ始めた姿は美しいとはいえませんが、次の年の新しい命をたくさん抱えている姿でもあります。庭のノラボウやオオアラセイトウは、晴れた日が続くと種をばらばらと落とします。その種を採取して来年に備えます。サクラソウやクリサンセマムノースポールも、たくさんの種を地面に落とします。枯れた体は今はすでに地面に埋められています。ここで登場した4種の植物はたくさんの種を作ります。特にサクラソウは、とても小さな種を何千何万と作ります。この時季は、こぼれた種からたくさん発芽して、プランターの土の上全面を覆ってしまうほどになります。ですが、このままにしておくと夏の暑さに負けてほとんどの芽は育たず枯れてしまいます。採種したノラボウの種は次の年にほんのひとつまみしか使われませんし、オオアラセイトウはこぼれ種から育つものだけで十分、庭は放っておくとオオアラセイトウだらけになってしまいます。多くの種は育たずに終わってしまうというのが現実です。植物ばかりでなく動物も、育たずに終わってしまう命がたくさんあります。個々の命が生まれる確率はスーパーコンピューターでも手に負えないのではと思います。そのような中で奇跡的に生まれてきた命を、それぞれが精一杯生きているのです。どのような生き物にも生きる権利があります。私たち人間にも生きる権利があります。その権利を主張する場面を多く見受けるようになりましたが、自分たちが生きていくために直接的・間接的に奪うことになる命に心を向け、失われる命は最小限にしなくてはと思います。庭で芽を出したたくさんの草花の苗を見ながら、命が生まれる仕組みのことを考えると複雑な気持ちになります。

さて今回は、花が注目されることは少ない植物ですが、今花の時季を迎えているシロタエギクが育つようすを紹介します。