vol.23 - No.09 (2021年8月1日)

庭のカラスザンショウの木には、いろいろな種類のアゲハがやってきます。どのアゲハの卵も若齢幼虫もとてもよく似ているので、産卵する成虫を目撃しないと区別がつきません。そこで、ときどき庭をながめて産卵の瞬間を目撃しようと試みています。そんなある日、光沢のある緑色のコガネムシらしき昆虫が交尾しているのを見つけました。カラスザンショウの葉のつけ根にしがみついていたので、最初はコガネムシかと思いました。ところが、よく見るとカナブンです。本来カナブンはコナラやクヌギの林にいます。成虫は樹液を餌に生活しているので、町中の庭にいるのは珍しいことです。早速交尾のようすを撮影し始めたのですが、そのとき次のようなことを思いました。同じような姿の昆虫なのに、コガネムシはなんて嫌な生き方をするんだろう。そう思った原因のひとつには、最近コガネムシにキウイの葉やブドウの葉などを食べられてしまったことがあります。成虫は大切にしている果樹の葉をバリバリと食べてしまいます。土の中で育つ幼虫も、プランターや植木鉢の中で根を食べて草花を枯らしてしまいます。大事に育てていた花が、ある日突然水が足りなくなったときようにうなだれ、いくら水をあげてもどんどんしおれて枯れてしまう。皆さんの中にもそんな経験のある方がいると思います。きれいな花がもう少しで咲くときだったり、きれいに咲いているときだったりすると、落胆の気持ちはとても大きなものです。その犯人(犯虫)は多くの場合コガネムシの幼虫です。カナブンは、そんなコガネムシとは異なり、幼虫は落ち葉や腐った植物を食べ、成虫は樹液をなめます。時々イチジクの実をクチャぐちゃにすることもありますが、コガネムシほどの悪さはしません。とはいえ、どちらの昆虫も選んでそんな生き方をしているわけではありません。コガネムシの生き方が人間にとって都合が悪いだけなのです。昆虫とは異なり、人間はある程度自分で生き方を決めることができます。カナブンを見ながら、まちがった選択をしないようにしなければと思いました。

さて今回は、5月から7月に美しい花をたくさん咲かせていた、ハナビシソウが育つようすを紹介します。