vol.18 - No.11 (2016年9月1日)

今年も残すところ3分の1となりました。春に育ち始めた生き物の多くは、その一生の終盤を迎えます。種を作ったり、卵を産んだり、次の世代に命をつなぐために、残りの命を最大限に使ってその一生を終えます。小学校では、1年生がアサガオ、2年生がヒマワリ、3年生はホウセンカなどの花を育て、この9月には種ができたようすを観察します。そんな学習活動を行う中、夏休み前に1年生担当の先生から質問を受けました。「芽が出るようすが観察しやすいように小さな園芸用ポットにアサガオの種をまいたが、苗をそのままにしておいたところ、つるがのびず背丈が15cmほどにしかならない。それでも花が咲き実ができ始めた。どうしたんでしょう。」と。そこで、「小さなポットで肥料も少なく、水も十分与えられないので、このままでは長く生きていけそうもない。早く種を作らないと子孫を残すことができない。そう思ったアサガオが、あわてて花を咲かせて実をつけたんでしょう。命を引き継ぐための本能で、1つでも2つでもいいから種を作らなければと考えたのではないですか。」と答えました。アサガオの生命力の強さを感じさせられたのですが、それとともに人間はどうなのだろうかと改めて考えてしまいました。現代人は命をつなげる本能を失いつつあるのではないかという不安を感じています。

さて今回は、クズが育つようすを紹介します。今の時期、野山では絶大なる存在感をしめす生命力の強い植物です。