雄バチ
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雄バチ

四季の教材 - No.10 (1996年8月15日)

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1群に2000匹ほどいるのですが、普段は何の仕事もなく、働きバチに餌をもらってぶらぶら過ごしています。とてものんきで気楽な生活のようですが、冬になるととても哀れな死に方をすることになります。それは、餌の多いときは、雄バチが蜜や花粉を食べても働きバチは大目に見ていますが、餌の少ない冬になるとそれを許しません。お腹がすいて餌をほしがる雄バチを、たくんの働きバチが力ずくで巣の外に追い出されてしまうのです。寒さにふるえながら巣の中にやっと戻ったと思ったのもつかの間、すぐに働きバチに追い出されてしまいます。冬には、すべての雄バチがこんな哀れな目にあうのです。それでも、女王バチは受精卵(働きバチや新しい女王バチ)を産むのに困りません。それは、女王バチが、いつでも好きなときに、雄バチを産むことができるからなのです。こんな雄バチの唯一の仕事は、女王との交尾です。しかし、交尾をするのはたった1匹だけです。1匹の雄バチの精子は、女王の貯精のうに貯えられ、その後ずっと女王バチの体の中で生き続けます。そのため、女王は、いつでも受精卵を産むことができるのです。