圧力:水銀柱ミリメートル/millimetre of mercury/非SI 圧力:水銀柱ミリメートル/millimetre of mercury/非SI

定義:

$\frac{101325}{760}$ Pa

由来:

高さ 1 mm の水銀柱がその底面に及ぼす圧力
記号のつくり
水銀柱ミリメートルは,記号 mmHg で表されます。
最初の mm がミリメートル(接頭語のミリ m+長さの単位メートル m),それに続く Hg は水銀の元素記号です。この Hg は,ラテン語の hydrargyrum に由来します。hydr 部分が水を,argyrum 部分が銀を表す単語です。
圧力の単位に水銀が出てくるなんて,と奇妙に思った人もいるでしょう。これは,水銀柱の高さで圧力の測定を行った実験に由来する単位なのです。
トリチェリの実験
定義から,標準大気圧 101325 Pa(=1013.25 hPa)が 760 mmHg に等しいことがわかります。
これを最初に測定したのは,イタリアの物理学者 エヴァンジェリスタ・トリチェリ(1608年〜1647年)です。

エヴァンジェリスタ・トリチェリ (archived by Mr. Steve Nicklas, NOS, NGS [Public domain])

エヴァンジェリスタ・トリチェリ
(archived by Mr. Steve Nicklas, NOS, NGS [Public domain])
トリチェリは,図のような実験を行い,空気が水銀面に及ぼす圧力,大気圧を測定しました。

トリチェリの実験

①水銀を満たした管を水銀の入った器に立てます。

②ふたをとると,管の中の水銀は下がっていきますが,器の水銀面からの高さが 760 mm になったところで止まります。管を上下させても水銀面から測った水銀柱の高さは変わりません。

このことから,器の水銀面では,大気圧と 760 mm の水銀柱による圧力がつり合っていることになります。(→画像をクリック)

トリチェリの実験2

つまり,大気圧は 760 mmHg とわかります。
トリチェリの実験

これは,水銀が常温で液体の金属で,水の約13.6倍の密度を持つ(同じ体積の水と比べて約13.6倍も重い)物質だからできた実験です(同じ実験を水で行おうとすると,およそ 10 m の管が必要になります)。
水銀は,ほかにもおもしろい性質をたくさんもつ物質ですが,有毒なので身の回りからは姿を消しつつあります。

トリチェリは,この功績から圧力の単位トル(記号:Torr)にその名を残しています。1 Torr = 1 mmHg です。

何に使う単位なの?
mmHg は 非SI単位ですが,特定の分野での使用が認められています。日本の場合は血圧です。

血圧測定

血圧は 89/51 のように2つの数字(心臓の収縮期の血圧/心臓の拡張期の血圧)で記録しますが,ここで省略されている単位が mmHg なのです。なお,139 mmHg以下/89 mmHg 以下の範囲が正常域血圧とされています。
血圧測定
1 mmHg ってどのくらい?
古い五百円玉の及ぼす圧力が約 1 mmHg です。

古い五百円硬貨 [Public Domain]


「古い?」と思った人もいるでしょう。
実は,五百円玉には2種類あります。1999年まで発行されていた白銅貨と2000年から発行されているニッケル黄銅貨です。
白銅貨は銅 75 %,ニッケル 25 %であったのに対し,ニッケル黄銅貨は銅 72 %,亜鉛 20 %,ニッケル 8 % から成ります。
白銅貨と全く同じ素材で直径も同じ 500ウォン硬貨による偽造対策で変更されました。
古い五百円硬貨
[Public Domain]
さて,五百円白銅貨は,質量 7.2 g,直径 26.5 mm です。重力加速度 $g$ = 9.8 m/s$^2$ より,圧力 $p$ は,次のように求められます。
$$ \begin{align} p &= \frac{F}{S} = \frac{mg}{S}\\ &= \frac{7.2 \times 10^{-3} \,\text{kg} \times 9.8 \,\text{m/s}^2 }{(13.25 \times 10^{-3} \,\text{m} )^2 \times \pi} \times \frac{760}{101325} \,\text{mmHg/Pa}\\ &\fallingdotseq 0.96 \,\text{mmHg}\\ \end{align} $$
単位の換算
空欄に数値入力することで、単位を換算することができます。
mmHg = Pa
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