定義:
$1\,\text{dm}^3$(= $10^{-3}\,\text{m}^3$)
一辺 $1\,\text{dm}$(= $10\,\text{cm})$の立方体の体積
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リットルという科学者がいたのか?
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国際単位系(SI)では,単位が人名に由来するものには大文字,そうでないものは小文字を用いることと決められています。
では,リットルを大文字の L で書くのは,リットルという科学者がいたからのでしょうか。
いいえ。リットルは,ギリシャ語,ラテン語の litra という重さの単位に由来するもので,L と大文字で書くのは,小文字の l が1(いち)と混同しやすいからです。
なお,以前リットルを斜体( $l$ )や筆記体( $ℓ$ )で表記していたことがありますが,現在では教科書において,こうした表記は認められていません。
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$1\text{ L}$ の牛乳パックのふしぎ 前編
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$1\text{ L}$ といわれて思い浮かぶのが,紙パックの牛乳です。
牛乳パックの寸法を調べてみました。 (画像をクリック→)
直方体部分は,底面が $7.0\text{ cm}$ の正方形で,高さが $19.5\text{ cm}$ です。容積を計算すると,次のようになります。$$ \begin{align} 7.0\,\text{cm} \times 7.0\,\text{cm} \times 19.5\,\text{cm} &= 955.5\,\text{cm}^3\\ &= 0.9555\,\text{L} \end{align} $$
牛乳パックの注ぎ口のあたりは四角錐(し かく すい)になっています。 この四角錐の高さは $2.5\text{ cm}$ でした。(画像をクリック→)
この部分の容積も加えてみましょう。$$ \begin{align} \frac{1}{3} \times 7.0\,\text{cm} \times 7.0\,\text{cm} \times 2.5\,\text{cm} &= 40.83\,\text{cm}^3\\ &= 0.0408\,\text{L}\\ 0.9555\,\text{L} + 0.0408\,\text{L} = 0.9963\,\text{L} \end{align} $$
そもそも,この四角錐部分にまで牛乳が入っていたら,開けたときにこぼれてしまいますね。
パックには,$1\text{ L}$ 入っていないのでしょうか。
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$1\text{ L}$ の牛乳パックのふしぎ 後編
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牛乳の入っているパックを観察してみました。
中身の入った未開封の牛乳パックは,空のパックよりふくらんでいることがわかります。(画像をクリック→)
この変形によって,パックの容積が変わっているのです。
紙パックがふくらむと,断面は正方形から円に近づいていきます。
牛乳パックの断面の正方形のまわりの長さは $7.0\text{ cm} \times 4 = 28\text{ cm}$ で,面積は $7.0\text{ cm} \times 7.0\text{ cm} = 49\text{ cm}^2$ です。
同じまわりの長さの円の面積とくらべてみましょう。半径 $r$ の円のまわりの長さ $l$ は $l=2\pi r$ なので,断面の正方形と同じまわりの長さの円の半径は,次のように表せます。$$ \begin{align} l = 2\pi r &= 28\,\text{cm}\\ r &= \frac{28}{2\pi}\,\text{cm}\\ &= \frac{14}{\pi}\,\text{cm} \end{align} $$半径 $r$ の円の面積 $S$ は $S=\pi r^2$ なので,正方形と同じまわりの長さをもつ円の面積は,次のように求められます。$$ \begin{align} S &= \pi r^2\\ &= π \times (\frac{14}{\pi}\,\text{cm})^2\\ &= \frac{196}{\pi}\,\text{cm}^2\\ &= 62.39\,\text{cm}^2 \end{align} $$
牛乳を入れたときのふくらみまで計算されて,紙パックがつくられているのですね。