温度:ケルビン/Kelvin/SI基本 温度:ケルビン/Kelvin/SI基本

国際単位系における定義:

ボルツマン定数 $k$ を 1.380649×10$^{-23}$ J•K$^{-1}$(s$^{-2}$•m$^2$•kg•K$^{-1}$ に等しい)と定めることによって設定される熱力学温度の単位

古い定義:

水の三重点の熱力学温度の$ \dfrac{1}{273.16}$

由来:

絶対零度を $0$,間隔をセルシウス度とするもの

ケルビン卿

温度の単位ケルビンは,イギリスの物理学者ケルビン卿ウィリアム・トムソン(1824年〜1907年)に因んでつけられました。

ケルビン卿

トムソンは,熱力学,電磁気学,地質学などさまざまな分野で業績を上げた科学者です。中でも,「吸収した熱をすべて仕事に変えることはできない」という熱力学第二法則(トムソンの原理)の発見で知られています。

また,1848年,絶対零度を -273 とした絶対温度目盛りを導入しました。

こうした業績から,1892年にケルビン男爵の爵位が与えられました。

ケルビン卿
ボルツマン定数

2019年5月20日から,K はボルツマン定数を用いて定義されるようになりました。

ボルツマン定数は,オーストリアの物理学者ルートヴィッヒ・ボルツマン(1844年〜1906年)に因んだ定数です。

ルートヴィッヒ・ボルツマン

ボルツマンは,1877年,エントロピー $S$ は系の取りうる状態の数 $W$ の対数に比例するというボルツマンの関係式を見出しました。

$S = k \ln W$

この $k$ が,ボルツマン定数です。

ルートヴィッヒ・ボルツマン
$0\text{ K}$ ってどのくらい?
$0\text{ K} = -273.15\text{ ℃}$。絶対零度という温度の下限値です。物質を構成する原子の熱運動がなくなった状態にあたります。
$273.16$ って何のこと?
絶対零度 $0\text{ K}$ は $−273.15\text{ ℃}$ですから,水の凝固点の $\dfrac{1}{273.15}$ となっていればいいと思った人もいるでしょう。
しかし,水の凝固点が $0\text{ ℃}$なのは圧力が $1013\text{ hPa}$(ヘクトパスカル)のときだけで,圧力によって凝固点は変化します。
圧力と温度を変化させたときの水の状態変化は,次のようになります。
イメージ図:水の状態図
イメージ図:水の状態図 凝固点や沸点とはちがい,固体,液体,気体の三態が同時に存在できる温度である三重点は,決まった値になります。そこで,一意に定まる三重点を基準にして定義しているのです。
水の三重点は,$611.654$ $771$ $007$ $894$ $\text{Pa}$ のときに$0.01\text{ ℃}$です。これを基準にしたので,$273.15 + 0.01 = 273.16$ となったのです。