算数・数学な日々:日常生活の中にひそんでいる算数や数学的な事柄を編集部員が紹介します。

2009.9.7

データの活用アイコン雅な数学

先日,京都府宇治市にある源氏物語ミュージアムで,下のような図柄に出くわしました。

源氏香1

何の暗号だろうと思いながら,解説のパネルを読んでみると,これは「源氏香(げんじこう)」という江戸時代に広く楽しまれていた香り当て遊びの解答図 (香の図) だとのこと。

具体的には,次のようにおこないます。

①5種類の香りを5個ずつ合計25個用意します。

②25個のなかから任意に5個選びます。

③5個の香りのうち,どれとどれが同じ香りで,どれとどれが違う香りかを当てます。

源氏香2

④解答を図に表します。
例えば,2番目と3番目が同じ香り,ほかはすべて違う香りだと思ったときは,5本の縦棒のうち,2番目と3番目の棒を横線で結びます(図)。

源氏香2


このようにしてできる香の図は,全部で52通りあるそうで,江戸時代の人々は,源氏物語が54帖あることを想起して,第1巻と第54巻を除いた52の巻名をそれぞれの図柄に命名したのだそうです。

ちなみに,解答例の図柄は「夕顔」になるそうです。


さて,どう計算すると52通りが導かれるのかが気になるところですね。

私もチャレンジしてみましたが,結構時間がかかりました。

場合分けが必要でやや難しいですが,皆さんもぜひチャレンジしてみて下さい。


❶5個がすべて異なるとき

1通り

❷2個が同じで,ほかはすべて異なるとき

${}_5 \mathrm{ C }_2 = 10$ …10通り

❸2個が同じで,ほかの3個が同じとき

${}_5 \mathrm{ C }_2 = 10$ …10通り

❹2個が同じで,残りの3個のうち2個が同じとき

${}_5 \mathrm{ C }_2 \times {}_3 \mathrm{ C }_2 \div 2 = 15$ …15通り

❺3個が同じで,ほかはすべて異なるとき

${}_5 \mathrm{ C }_3 = 10$ …10通り

❻4個が同じとき

${}_5 \mathrm{ C }_4 = 5$ …5通り

❼5個がすべて同じとき

1通り


これらをすべて合わせて,

$1 + 10 + 10 + 15 + 10 + 5 + 1 = 52$ …52通り


関連するウェブサイト

源氏物語ミュージアム(宇治市役所)

源氏香之図の一覧(kimono gallery 晏)